雪山修行 ~雪洞体験~ (後編) |
雪洞を再度掘るにしても、ここにはもう掘れないのかも。
掘ったとしても、狭い雪洞で身を寄せ合って朝を迎えるのは、かなりキツそう。
夜間の下山は冬山ではご法度。
さぁ、どうする!?
天井が落ちてきて雪に埋まって、ワタシの第一声がどっちだったのか記憶にない。
「降ります?」
「掘ります?」
どちらかを言った覚えがある。でもどっちだったか定かじゃない。
どっちを取っても厳しい道であることを頭の中で思っていたことは確か。
そして今回のパーティーのリーダーである北リタ師匠は苦渋の決断を下しました。
「下山しましょう」
後に師匠はこう語りました。
「夜間の下山決行は、本来山の鉄則に反する行動ですが、お二人の体力と精神力への信頼、山の地形(真南へ痩せ尾根が一直線)、月明かり(吹雪のときもライトなしで50cm以上の視界があった)、この3つの要素が重なって、初めて出来た異例行動だと思う。」
登りのときにもしみじみ感じていたのだけれど、雪の山道はルートがとってもわかりづらい。師匠に“ここが登山道”と言われるまで気づかない始末。こんなに道がわからないものだとは……。
昼間でも道がわからなかったのに、夜にここを降りるのである。登ってきたときのトレースは既に雪でかき消されて、風の少ないルートに時々かすかに残っているだけ。それでもワタシに不安はありませんでした。二人を信頼していたから。そして、自分にはまだまだ歩き続けられる体力があると思っていたから。
降りていくと、土合の街明かりが遠くに見えてきた。明かりが見えるとほっとする。まだまだ遠いけど。
尾根をまっすぐ降りてゆくのだけど、途中東方向に沢に向かって降りなければなりません。ここが不明瞭で、結局我々はその場所を誤りました。「間違えてもとにかく沢に降りられれば、沢沿いに歩けば、最初に渡った橋に出られるはず」…と師匠。
ここからがかなりきつかった。腰まで雪に埋まりながらラッセル(先頭はモロさんだからワタシはやっぱり楽ちんぽんだったのだけど)。
谷風がきつくて歩けないときもあったり。
やっと出た沢には堤防があって、結局上り返して巻かなければならなかったり。
気づけば北リタ師匠がどっかにヘッドライトを落としてきちゃってたり。
だけど最後には……ちゃんと橋にたどりつけた(T_T)(T_T)
土合の駅に戻ったのは午前0時を回った頃。
3時間近く下山に時間がかかったことになる。
安堵の3人。
駅には朝まったりしていたお隣さんが、駅構内にテントを張って既に就寝してた。翌朝聞いた話だけど、彼らはやはり雪洞体験をしようとやってきたのだけど、天気のため山には入らず、結局駅前にたまった雪に雪洞を作って雰囲気を味わっていたらしい。
夜食を食べて暖かいコーヒーを飲んで、我々もそのまま駅でビバーク。駅構内でも寒かった~~~。
そして翌朝、起きてからまったりまったり、まったりづくしでお昼まで土合の駅でまったりしてました(まったりしすぎ/笑)
そうそう、もう一つ実験してたことが!コンタクトの保存液!
ワタシはコンタクトなんですが、できれば寝るときはコンタクトはずしたいなぁ……でもはずしたら雪洞内でまたコンタクトつけるのはかなり困難だろうなぁ…。そう思いながら、コンタクトケース持っていったの。
でもね、見事に保存液は凍ってました(^_^;)
さらに言うなら、未使用の使い捨てコンタクトも持っていたのだけど、これも中身が凍ってました。一度凍ったレンズは使用しても大丈夫なのかなぁ…。今度試してみます。
駅のむこうにはちらっと白毛門山の中腹が見えました。ちょうど見えるとこらへんまで登ったようです。
まったりした後は、車を掘り起こして温泉へ(^^)/
今回はとてもたくさんの事を学びました。
雪山でのルートファインディング
雪洞を掘る場所の判断
雪洞の暖かさ
パーティーとしての行動
装備への慣れ
信頼
反省
感謝
北リタ師匠、モロさんへ心からの感謝を。
正直、ワタシは最悪・最低に足手まといでした(>_<)
カンジキがひとりで履けない。
天井が落ちてきて、まずは靴を履こうとしたのだけど、靴がはいらない。
スパッツのチャックがしまらない(雪が詰まってた)
ワタシに出来たのは、とにかく明るく振舞って常に元気に行動することだけだった。
山でこれは本当にいけない。最悪。
次回はきっちり装備慣れをした状態で望みます。
無事に戻ってこれたからこそ言えるのだけど…
貴重な体験ができてとってもよかった。
雪洞バンザイ(^^)/
また掘りに行きたいな。リベンジじゃ。
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まったく懲りてなす(苦笑)